21.8.09

クロアチア滞在レポートperformance1


5-1.パフォーマンス作品

 当日は、朝から雨で、とても寒かった。宿で準備をしているうちに、予定より1時間早い4時からイベントが始まっていた。なぜなら、観客が寒い中に待ちきれなかったためだそうだ。わたしが会場に着いた時は、もう2人めのアーティストのパフォーマンスになっていた。PAスタッフのピノに、わたしが南に歩くことを後でアナウンスしてもらうよう頼んで、わたしはさっそく南に歩き始めた。
















Wind from Sky, Red Ribbon

 私はMy land, Staglinecの場所から南にまっすぐ歩き始めた。観客は私の後ろ姿を見送ったかもしれない。私は、小麦ととうもろこしの畑を歩き、小さな川を横切った。草はみなぐっしょり濡れていたが、色が美しかった。通った後には、印として赤いリボンをつけた。そして、30分後、折り返した。1時間後には、背中のバスケットを花や植物をいっぱいにして、場所に戻った。戻った時は、誰かのパフォーマンスが行われていた。わたしは、ステージの端で待っていた。参加アーティストのひとりが私に気がついたので、ピノに私が戻ったことを伝えて欲しいと言った。しばらくして、パフォーマンスが終わると、アナウンスが流れた。
 そして、わたしはステージの真ん中のテーブルまでゆっくり歩く。テーブルの脇にしばらく佇む。そしてテーブルの上の、水をいれた大きな鍋に植物を一本一本浮かべた。植物にリボンを足してゆく。さらにわたしは、テーブルを揺らす。それから、その鍋とテーブルをゆっくり傾ける。鍋から水がこぼれ始める。こぼれる音にじっくり耳を傾ける。やがて、鍋とテーブルと植物が倒れ果てる。私はそれらを乗り越える。横になったテーブルがみしみし言って、少し壊れた。ゆっくりゆっくり時間をかけて進む。なぜなら、わたしは「南からの風」だから。これを行うのに、20分くらいかけた。そして前へ進み、少しの間、土の上に倒れ込んだ。突然、ピノのアナウンスがあった。終わったわけではないけれど、そう思ったのだろう。起き上がり、わたしは観客の輪を割って、さらに北へ向かい、会場を出た。拍手が背中に聞こえた。
 わたしは、幹線道路を渡る。さらに、線路を乗り越え、別の細い道路に出る。犬に会った。目の前に民家があった。ひとりの女性が彼女の家の窓からわたしを見つめていた。やがて、急いで家に入ったので、たぶん、彼女は警察に電話をするだろう。しかし、警察は「私=風」を捕らえることはできない。わたしは、彼女の家の横を通って歩いた。きれいな花を集め、ブーケを1つ作った。1時間後、わたしは、My land, Staglinecのステージに戻って、オーガナイザーであるヴラスタにブーケを渡した。
 南方からの収穫物は、繁栄のシンボルである。ゴッホは、南仏の光に憧れ、アルルへ移住した。ドイツ人たちは、クロアチアの海岸に太陽を求める。この地域は、シュタグリネツの水と南の山で育てられたブドウで、何世紀も間、極上のワインを作ってきた。いくつかのヨーロッパの国は、アフリカに資源を求めて、旅に出た。そして、戦利品で国土を飾った。長くて複雑な南との歴史。これから、また新たな世紀が始まる。「南へ」そして戻ってくる、旅。

以下は南下中。まっすぐゆっくり南に歩くデュレーションパフォーマンス。ひとりで歩き、通った道の植物にリボンをつける。さらに収穫してバスケットに取る。1時間で戻る。自分で写真を撮るので、自分は写らない。
























会場に戻り、20分くらいのパフォーマンス。ものすごくゆっくりのスピードで行う。ミランのカメラがコマ送りみたいに、撮り続けていた。

























ひたすら北上。鉄道、民家もあるし、花も美しい。1時間で、戻ってヴラスタに花束を贈る。