21.8.09

クロアチア滞在レポート lecture

2. ザグレブでのレクチャー

6月17日。昼はアンのパフォーマンスの準備を私は手伝った。夕方になり、私は自分の準備をしていたら、シネイドが、サキコのレクチャーの途中からパフォーマンスを始めていいかと聞いてきた。わたしがひとりでレクチャーすることをよほど、不公平に思っているみたいだ。さすがにこれには、賛成しかねて、はっきり断った。それは、相手を試す、彼女流のパフォーマンスかもしれない。わたしだって、やりたいことがあれば、ゴリ押しすることがあるから、わからないでもない。こっそり愉快な気持ちになった。

30分では、用意した原稿の全部(3つのパート。⑴イントロダクション身体について、⑶作品について)を読めそうではなかったので、それらテキストがアップしてある私のwebsiteのアドレスや、作品の記録ビデオはアップしてあるYouTubeのアドレスを書いた紙をコピーして、聴衆に配ってもらうことにした。興味のある人はあとで、見てくれればいいと思った。HDLUのスタッフのアレキサンドラは、テストで私の作品のビデオを見て、気に入ってくれたら、急に、てきぱきといろいろな用意を手伝ってくれた。
 レクチャーは19:00より始まった。聴衆は、およそ30人くらいだっただろうか。HDLUからのオフィシャルな招待状をもらっていたので、堅苦しい感じの観客が来るのかもしれないと思っていたが、そうでもなかった。観客は、アーティストやライターが主だと思う。日本でみかけるような「権威」のありそうな感じの人たちではなくて、フレンドリーな仲間という感じ。私はいくつかのメインの作品のビデオを説明しながら見せて、コンセプトや私がパフォーマンスアートに興味を持った経緯などを話した。30分ほどすると、ヴラスタが突然、聴衆と私の間に立ちはだかって、終わりにするように言った。もうひとつ映像を見せたら終えると言って、私は少し抵抗した。
 私のレクチャーが終わると同時に、PAVESのパフォーマンスが始まった。パッション性が強いが、ハートとしては繊細なパフォーマンス。アンは、しゃがれた声でシャウトするのが個性のようで、印象に残った。シネイドは床を匍匐前進し、エフィは小声で歌を歌っていた。
 聴衆は少なかったが、わたしのパフォーマンスの映像を面白いと言って話しかけてくれる人が何人かあり、やりがいはあったと思う。特に、『Garden』(2003)という身体と音の関係を表す作品、銀行ATMに関する作品「Best Place to Sleep」(2007〜)。
準備が万端だったのでリラックスして話せてよかったと思う。こういう場合の即興でも、準備があってこそ、生きるのだと、よくわかった。全部話すための原稿はできているので、どこかで、ちゃんと行いたいと思う。今回のために特別に書いた「身体について」のテキストの紹介ができなかったのが残念。

 その夜は、食事をとれずにアパートに帰る。シネイドがビールやお菓子をキヨスクから買って来てくれたので、遅くまで3人と話をする。だんだん、いいチームになって来た感じがした。HDLUの中で記念に5人で写真を撮った。下から、アン、ヴラスタ、シネイド、エフィ、そして私。