10.1.10

どんな状況でも変わらない性格

あと1日でしょう、言われて、4日目を生きている父である。きのうの夜中、息の速さが変化するたびに、私はナースステーションにでかけて、モニタリングされている父の心臓のペースをチェックした。こんなに人間の息を気にして聞き続けたことは、わたしのこれまでの人生にない。一応、わたしも簡易ベッドに寝ていて、能天気な夢を見たりしているので、ずっと起きていたわけではないのだけど。

朝になって、看護師さんが、呼びかけても、まるで反応がない。目はあくので、その前に、手をかざすが、反応がない。ついに、昏睡か?と思ったが、試しに「おと〜っさん!もし、聞こえていたら、目ちょこっと動かすだけでいいから....」と言ったら、言い終わらないうちに、まぶたが動いた。わたしは、「なんだちゃんと聞こえてるんだ!」と、ワッと泣いてしまった。そのあと、腕やら、足やら、さすってから、さあ動いてみて、と言うと、少しずつ動いた。..........  私は、うれしかったが......

たぶん、父は、わたしへのサービスで、やっているだけである。いつも「律儀〜」と私に言われていて、「そうおれ律儀」と言って笑ってた。耳しか聞こえない状況になっても「律儀」は変わらなくて、必死の力を振り絞って、動いてくれているのだ。父にとっては「動く」ことなど、すでにあまり興味がないと思われる。結論をすぐ出してしまう、せっかちの父には、「ちょっと動けたからって何にもならない」。それでも、娘が喜ぶのなら、動いてみせる。それが、うちの父。あと何時間、何日そういう人に会っていられるのか、わからないけど.... 

同じ人はふたりといないって、陳腐だけど、ほんまやね。