9.6.10

「ずれ」ないわけにいかない面倒な私

きのうは、友達のさいとうかこみさんの展覧会に行く。池袋と目白の間の住宅街にある、ブックギャラリーポポタムというところにて
かこみさんの、確実にマイペースな仕事ぶりに感心する。「山岡さんも絵を描くんですよ」とお友達に紹介してもらったが、はずかしい。かこみさんのように、絵を描き続けるのは、夢だった。夢だ。夢。なんで、他のことに「ずれ」ていってしまうのだろう、わたしの人生。ブックギャラリーも落ち着きと優しさに満ちていて、こういうところが、この世にあったのだ〜と、カルチャーショック。たぶん、相当頑固でないと、やれないと思う。やはらかくあるのも、明確な意識が必要なんだと思った。

それで、まあ、その私の「ずれ」を実践に、武蔵境のムラカミくんのアパートへ向かう。台湾のDingDingとSkypeミーティングするためだ。他に、モエちゃんも来ている。DingDingは、C&M Taiwanのメンバーである。去年、わたしが台湾に行った時に、スカウトした。

C&Mのイスラエル側は、実はあまりこのごろ活動がないみたい。日本の学生との共同制作は、割と楽しくなって来ている様子だが、「C&M」としては、どうなんだろう、とわたしは思っているところ。「M」だけやるつもりなら、何も「C&」と言う必要はないと思う。もちろん、作品の中味にこそ、C&の要素はあり、それは作られている。.......、私が企むのは、世界の中で政治的に孤立していく方向にあるイスラエルということに対し、芸術活動はその壁を越えると言う方向だ。言葉にしてみると平凡だね。かつて、東西分裂の時には行われていたことだ。しかし、今回は欧米は冷たいのではないかと思う。その点、先入観のないアジアン系は動けるのだと思う。
とにかく「イスラエル」というケースは、人間という矛盾を考える上で興味深い。ユダヤ人はコミュニティの作り方も、とても珍しいだけに、興味深い。きのうは、DingDingとの会話のあと、ムラカミくんとモエちゃんと3人で武蔵境名物の「油そば」を食べながら、共産主義のソ連とイスラエルとの関係を話しあった。


今回目論でいるのは、台湾と日本の若いアーティストが、インドネシアに行くので、それに、便乗して、東京とジョグジャを結んだライブミーティングをするということ。インドネシアは、イスラム教徒の多い国だ、その辺を、C&Mとしては、ソフトな形で、チャレンジできればと思っている。だが、関係をつくるだけでは、まだアートではない。


一方、わたしとしては..........どこで発表するにせよ....... どんな友情でも、どんな愛でも掬いきれない、人間や世界(社会ではない、もっと広い人間のいない場所も含めた)ある種のセンス、それは暴力かもしれないし、死のにおいかもしれないし、恨みかもしれないし、歓喜かもしれないし、宗教的かもしれない、またそういう感情が完全に抜け落ちた乾いた構造感覚かもしれないし、そういう、普段見えないものを、感じて、発見して引っ張り出して、アートの方法で示して、という気持でいる。わたしの場合は、それが人間関係が熱ければ熱いほど、その食み出るものがしみじみと見えてくるように思う。安定した精神状態が欲しいのだ。今はね。


.............だけど、やっぱり、絵はいいねえ。単純なのに、完璧なメディア。単純な絵であるほと、いいなと思う。