でも、前読んだ時より、面白い。現代社会のロウドウ問題が、かかわっている。賃金労働者だとか、役人だとか、横暴な小金持が出て来る。前読んだ時は、スノッブで優雅なギャラリーのおねえちゃんだったわたしなので、その切実なリアリティがわからんかったのだと思います(反省)。
かように失踪者は、名前が変わるのは、常識と言っていい。カール・ロスマンは、その後、ひげ面になり、麦わら帽子をかぶり、日本のスナック菓子の代名詞になった。カールが少年だったのは、ずっと昔。
4日前から、うちのおじさんの行方がわからなくなった。おじさんは、私の父の兄で、ユウジロウと言う。江東区の都営住宅で一人暮らしをしている80歳だ。父は、先祖のお墓のことで、重要な話をしなくてはならず、電話するけど、出ない。足の悪いおじさんが、旅行など行くはずがないと父は断言する。
水曜は管理人が休みで、あちこちたらい回しにされたあげく、都の管理事務所の人に電話する。その人は、すぐにおじさんのアパートにでかけ(有名な古くてでかい、迷ってしまいそうなアパート)、様子をしらべてくれた。やっぱりルスだ。「換気扇の所の窓が開いていたので、におってみましたが、特に問題なにおいはしません」と、報告してくれた(なまなましい)。
翌日(つまり、きのう)父は朝早くでかけ、管理人さんと警察官立ち会いの下、鍵屋さんを呼んで、鍵を壊し、中に入るに至る。
..........もぬけの空。きれいにかたずいていたそうだ。どこへ行ったか?
警察官はさすがプロ(と父は言う)。室内の新聞を調べ、3日前のものまでしかなく、それ以降は、新聞受けにも入っていないことから、新聞販売店が何か知っているのでは推理。電話する。「ええ、入院するから止めてくれと言われましたよ」
区の福祉課の人が、行ってそうな病院を調べてくれる。結局、ある場所に、ユウジロウ入院判明。父は病院に行き、ユウジロウはたまげる。腰を抜かし、あわやぎっくり腰併発か。ちょっとおなかが痛かったので、病院に行ったら、入院しろと言われたそうだ。鍵屋の代金は、ユウジロウが払った。とんだ出費でかわいそう。(自分はもしかしたら本当は死にそうな病気だから、親戚が呼ばれたと思ったのでは?)
今日は、横浜トリエンナーレのオープニングだそうで、友達が出かけていった。今日発売の、別冊BTの「アートシティヨコハマ、トリエンナーレの街を歩く」に、わたしの「失踪中」の写真が載っていると、別の知り合いが、ちょっとバカにしたように、わたしに言った。くだらないものが載ったとでも言いたげ。もっと、良いアーティストの写真が載った方が良かったんでしょうが、わたしは、それを載せたかったのではない!!
わたしは「最終原稿」を見せられ、何度もBTの人に聞いた「もう、変更できないんですか?」
知らんよ。
「Missing in Yokohama(横浜で失踪中)」2007 エッセン、ドイツ
まあ、本のテーマにはまっているといえば、はまっている。
ブルーライトヨコハマに対するは、死の商人と言われた鉄鋼王クルップファミリーの町、エッセン。わたしは、この町で、大企業が、ひとつの町の影のコントローラーであるあり方を肌で知った。
来年、開港150年に、もっとヨコハマに迷う為のプロジェクトをわたしは計画している。「ワンダララ計画」そのプレイベントが10月。上り詰めるとそこには外人墓地がある丘の途中の隠れ家的ギャラリーで行われる。また、あらためて、書きます。