- アーティストが企画すること、アーティスト・ランということの意味。
- 教育活動が常に加えられているという最近の傾向。
- パフォーマンスアートの魅力。
PALS(パフォーマンス・アート・リンクス)
今年が、その第1回であるストックホルムのパフォーマンスアートフェスティバル。デニス・ロマノウスキーDenis Romanovski、ラビサ・ヨハンソンLovisa Johansson、エリック・ヴィクストロインErik Wijkströmの3人のアーティストたちにより企画された。期間は、2012年4月17日〜22日。
デニスは、私が2003年にベラルーシの首都ミンスクでのパフォーマンスアートフェスティバルで会って以来である。ミンスクには、Navinkiというパフォーマンスアートフェスティバルがあり、彼はそのオーガナイザーの1人だった。そして、2006年に、彼はストックホルムに移住した。そして、新しい仲間を作り、たった6年で、フェスティバルを立ち上げた。そのたくましさに私は、すっかり脱帽。今回会った時、まず、おめでとうを言った。その間、私は何をしていた?
以下のインタビューは、PALSのフェスティバルが終わった翌日の4月23日に、デニスと行なった。途中からエリックが加わった。デニスは、いつもクールで、笑顔以外の感情を見せない人なのだけど、インタビューの書きおこしのために、ビデオを何度も再生して彼の言葉を聞いているうちに、その静かな語り口の奥の秘めたる情熱に気づき、私は、すっかり驚いてしまった。彼が「それなしには生きてこれなかったかもしれない」こととは何であろうか?
…….ストックホルムでは、このところ、パフォーマンスアートが盛んになってきたようですね。理由は何だと思いますか?
デニス Denis Romanovski |
------PALsはどのように設立できたのか、その経緯を教えて下さい。
デニス:その年は、それ以外にも、私たちは「No Budget Performance」という名のイベントを6回企画しました。予算はないけれど、参加したいアーティストたちには、自由にやってもらい、私たちはそのパフォーマンスのアレンジメントを行ないました。ストックホルムには、少ないながら、あちこちにパフォーマンスをするアーティストが出てきたのですが、皆、別々の活動をしていました。それらの人々をつなげたいと思ったのです。ヨーテボリやフィンランドのアーティストたちが参加しました。そうした経験を経て、私たちは、今回の国際的なパフォーマンスフェスティバルを開催する準備をしていました。
------パフォーマンスフェスティバルの開催は、社会へ、どんな貢献ができると思いますか?
デニス:まず、フェスティバルそのものが、社会へのデモンストレーションです。政治的なアクションでもあるのです。それから、具体的には、私たちは、教育面に力を入れました。パフォーマンスアートは、日常の生活でしていることと似ていますが、そのあたりまえの生活を一旦止めて、違う角度からの視線を持つ、良い機会です。パフォーマンスアートは、オルタナティブなコミュニケーションの方法を提供します。私達は、スェーデンだけでなく、フィンランド、ノルウエー、ドイツ、ポーランドなどでパフォーマンスを教えている先生たちに来てもらいました。あちらこちらの学校のアートのクラスとクラスに橋をかけ、生徒と生徒をリンクしました。フェスティバルは6日間で、そのうちの最初の3日間はワークショップでした。学生だけなく、社会人も参加しました。さらに、フェスティバルの最後の日は、12時間のフリータイムとし、生徒たちは、アーティストと混じって、自由な方法で、作品を発表しました。プロのアーティストたちと、同じ空間で、同じ状況で、作品をつくり、同等に話すのは、とてもいい経験で、一種の学校でもあったと思います。そしてまた、アーティストにとっても助けになります。若い世代の存在は、先輩のアーティストにいい効果があります。子どもたちは、親たちをしばしば、叩きますね。子どもたちが近くいれば、先輩のアーティストは、自分の作品に責任を感じるでしょう。
-----どのようにアーティストを選びましたか。
デニス:パフォーマンスアートのネットワークの中で、会った事のある人たちを選んでいます。他のアーティストとのつながりを持って、アクティブに活動しているアーティストです。そして、さらにリンクを広げて行きたいのです。半分がスエーデンからで、半分を外国からというバランスをとっています。気持ちとしては、もっとたくさんのいろんなアーティストを呼びたいと思っています。選ぶのは辛い作業ですね。
----あなたは、リンク、コネクトする、あるいは、ばらばらである、と言う言葉をよく使いますね。それはあなたにとって、特別なキーワードなのですか?イベント名にあるLinksというのは、どんな思いがこめられていますか。
デニス: パフォーマンスアートのフェスティバルは、人間ベースのネットワークがベースです。なぜなら、パフォーマンスアートの作品はアーティストに直接来てもらわないと成り立ちません。アーティストたちは、参加しながら、旅をして、ネットワークを編んでいます。私たちは、まず、スエーデンのアーティストたちをリンクすることから始め、彼等を、国際的なアーティストのネットワークに紹介しようとしたのです。人と人とをつなげるのは、すてきなことですよね。経験ないですか?誰かに会って、それはとても素敵な人だったので、そうだ、この人をあの友達に紹介しよう、きっとマッチすると思う、みたいなこと。私の経験で言えば、すばらしいアーティスト、すてきな人たちに会うと、エネルギーを感じ、私自身が、生き生きとしてきます。そして、そのこの経験が、私の人生を、どれほど、助けてきたたことかと思うのです。たぶん、私は、それなしには生きてこられなかったでしょう。
エリック Erik Wijkström |
------次回のフェスティバルで発展させたいことはありますか?
デニス:同じことを続けていって、ルーチンワークにはしたくはないと考えています。それでは、まるで、職業みたいになってしまいますから。私たちは、常に実験でありたいと思っています。そして、様々なトピックのアイデアを集めて、さらに、話題となることをしたいですね。
……..今回の会場はとてもよかったですよね。
デニス:そうなのです、ここ、Fylkingen(フィリキンゲン)には、200人の素晴らしい会員がいます。実験音楽がベースのスペースです。ちゃんとしたオフィスがあって、スペースがあって、倉庫があって、カフェがある。理想的です。1930年代に設立された、歴史あるライブハウスなのです。私たちはフィリキンゲンのメンバーにも参加を呼びかけました。興味があったら、出演しませんかと。そして、4人出演してくれました。
E:ツアー型にしたらどうか、というアイデアもあります。