14.6.12

アーティストランとそのキッチン

アーティストランのこと。

先日の日曜日は、埼玉県の行田で、毎月行なわれてる「パン屋」というイベントに参加した。埼玉もかなり北だし、駅からなかなか遠いので、東京の皆様をお誘いにくいが、ここは、私の知る中では、日本にある、大変貴重な「アーティストラン」のひとつである。
パン屋さんのオーナーの平川さんと、その友人で地元出身のアーティスト野本さんのふたりが、企画者だ。彼等は友情で結ばれている。うらやましい。フライヤーも作らないし、特に宣伝もしないで、メールと貼紙程度だが、近所の人たちがふらふらとやってくる。特に、コミュニティアートをやるという気負いもなく、見せているのは、正真正銘のパフォーマンスアートや音楽である。何もわざわざ「わかりやすい」ものをやって、地域で認められようという野心はないみたいだ。だから、私は参加しやすい。
入場料タダなのに、毎回、カレーやシチューなどの食事が出る。ごちそうさまです。
先日は、青山の東京ワンダーサイトにレジデンスしているという外国人アーティストが6人もやってきて、大盛況だった。(と言っても20人くらい?それで一杯なので)

以下のような場所です。パン屋さんが、ご先祖から譲り受けた店舗。

The art event "Panya" 10th June @ 翠玉堂、行田

アーティストランのスペースや企画は、ちょっと前まで、日本にもたくさんあったと思うが、この2〜3年で、激減した。サウンド系は、あるのかな。

こういう活動の仕方は、ヨーロッパ、アメリカやカナダにはどこにでもあって、どこでも、アーティストたちが、自分たちの場所に誇りを持って、協力しあって維持している。「誰のもの」ということではなくて、関わった人たちのものだ、という共同体の意識は、彼等特有の文化なのだろうか。いや〜、東南アジアにはあるよね。ないのは、日本くらいじゃないのかしら。あの政治的に窮屈そうな、ベラルーシにすら、あった。
大抵、キッチンがあって、「同じ釜のメシ」を食う。



以下は、先月私が参加した、ロッテルダムのアートスペース、WOLFART。イベント前に食事をしているスタッフとアーティストたち、それから、アーティストの友達たち。2008年に、空きビルをスクワットして、何人ものアーティスト用の住居とアートスペースを手に入れて、活用している。市からのサポートもある。食事は3時間もかけて作っていたが、それが苦というわけではないみたいだ。手のあいている仲間が集まって、運営している。ギャラリースペースと同じくらいの広さの、キッチンがある。食べることは、アートと同じ位大事?

PAE#4   8th May, @WOLFART, Rotterdam



以下もやはりロッテルダムで、Gemaal(ケマール)という名のスペースのキッチン。イベント用のスペースはかなり広い。アートスペースでもあるし、もう少し幅広い活動に使われている。元々は水道の貯水場の施設の一部。写真は撮り忘れたけど、ここでの料理は本格的だった。料理人も男性ふたりはプロかもしれない。女の子は、ガブリエルという友達。キュートで、料理が大好きなアーティストだ。

PAE#4   9th May @Gemaal op Zuid, Rotterdam

もちろん、NYには、有名な「ザ・キッチン」がある。
http://thekitchen.org/

お金のある、なしではない。それは、やっている人たちに、インタビューしてみてよくわかる。なんとしても、やっていきたい、というエネルギーがある。意地を張るのではなくて、ひょうひょうと、やっている感じ。生きるのと同じ意味。たぶん「あたりまえ」なのだと思う。
しかし、私がそれを始めるのは、どうも苦手みたい。誰か、始めてくれれば、私は応援に行きます。参加もします。


今日のブログは、キッチンのことにフォーカスしてみた。