少し、報告します。2012年2月5日日曜日。12:00から16:00過ぎまで。
12:00皇居二重橋前
13:00銀座和光と三越の間
14:00秋葉原AKB劇場前
15:00六本木ヒルズのルイーズブルジョアの大蜘蛛彫刻の下
16:00渋谷ハチ公前の交差点の手前
時報のように正確にその場所に立つ、というが二人のルールです。
記録班としては、スティル写真に芝田文乃さん、ビデオカメラにYuki Okumuraさん。
まず、皇居の二重橋前。予め、私たちはどこでも会いません。早く着いた方が立って待っています。そして、どちらかが、もうひとりを叩く。やりかえず。ここには、その間合いが大事です。私としては音楽として、その間と、「起きる」時のタイミングと動きを重視していたつもりです。でも、勿論、写真でもビデオですら、わからないね。何せ、トータル4時間10分ですから。以下、写真記録は「芝田文乃」さんです。
写真は、私がようやく到着して、彼に近づいているところ。なるべく、遠くでもわかるように、私は変な帽子を被ってゆきました。背景のカップルがいかにもな感じで面白い。観光地なんだよね。さて、ここでは、お互い「叩き」はあんまり激しくなかったですが、一応、叩き合いました。イントロダクションといったところでしょうか。お手並み拝見? 適当なところで、私が立ち去りました。
<12:00 皇居二重橋前>
皇居前 |
次の銀座交差点まで、私たちは別の道で行きます。写真は、最初の一発かも知れない。打ち方のフォームも、撮り方も、なかなかのナイスショット。
<13:00 銀座3丁目和光前>
銀座 |
ここでは、私は彼にがっつり叩かれて結構痛かったです。しかも、彼の手が耳にあたったので、これはやばいなあと思いました。野次馬がどんどん増えました。修行僧も横目で見ています(たぶん)。ここで、先に、立ち去ったのは彼の方です。
銀座線で北上、やはり別々に移動しました。次、秋葉原。ホコ天ですが、警官や自警団が沢山出ていました。通行人の服装が、銀座とは随分違いますね。写真は警察官が「大丈夫ですか?」と聞いているのに、私に手を出しているチ・トーさん。私は警察官が、本気で心配しておろおろしているのを、かわいそうに思い、比較的すぐに、立ち去りました。その方がスマートと思ったので。頬を押さえて芝居がかかった態度で去りました。
<14:00 秋葉原AKB劇場前>
秋葉原 |
次は六本木ヒルズ。銀座、秋葉原で結構痛い思いをして、私はもう結構イヤになってました。どうしようかと電車に乗りながら考えました。そして「あ、そうだ、よけ(避け)ればいいんだ!」名案。
ここでは、時間を30秒くらい遅れて到着しました。ルイーズ・ブルジョアの蜘蛛の彫刻の下で彼は、少しいらついて待っていました。下の写真はまさによけている瞬間。帽子の玉が2つなのがふざけていますが。でもデパートで買ったのよ。
<15:00 六本木ヒルズ 大蜘蛛の彫刻の下>
六本木ヒルズ |
写真ではわかりにくいですが、その後、一歩前に出て、彼に近づきました。そしてしばらく、私たちはにらみ合ったまま、時間を過ごしました。彼はもう叩こうとしませんでした。勿論、わたしも叩く気はありません。人間の顔をこの時ほど長くみつめたことはないかもしれません。我慢比べのようになってきました。どのくらい経ったでしょうか、にらみあったネコの一匹が去るように、彼がふらりと場所を離れました。この間、私は、意味もなく、ニコニコしてみたりしていました。挑発的な笑顔もあるのだよ、と。
<16:00 渋谷ハチ公前交差点手前>
渋谷 |
これで終了。
上の写真は以下のアブラモビッチとウライのパフォーマンスを連想させますね。
ついでにこれも。
古典を踏襲する時、どこが自分たちにフレッシュなのか、意識する必要があります。
彼は、マレーシアにある博物館で、ある日本人カップルが、びっくりして泣いているのを見たというのが、この一連の(来日中に彼は様々なパフォーマンスを行っている)パフォーマンスの動機になっています。その博物館には、日本軍と日本兵によるマレーでの残虐行為が表現されていました。日本人は、何も知らないんだなと思った彼は、逆に日本に興味を持ち、来日しました。そして、丸木美術館や広島平和記念館、沖縄の博物館を見て歩き、今度は自分の知らなかった、日本人に起きた戦時中の犠牲のことを知ったそうです。
私たちは、和解することができるのか?ともに傷ついた者同志。というのが、このパフォーマンスのコンセプト。「また会うために」私たちは、横目をせずに、向き合うことが必要なのでは?
彼の日本滞在制作が、アーティストとしての彼にとって良いステップになりますように。もしかして、日本とマレーシアにとって、よい出会いでありますように。
以下の写真は、日本人とマレーシア人の和解の印ではなくて、チトーさん一個人と私個人の、お疲れさまのハグです。